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坂本さんの舞台 NO MAN’S LAND を観てきた。
最初から戦争モノらしいということだけしか知らず
共演者が4人だけで、その中に浅野温子さんがいるということも
グローブ座に行ってから知った。
パンフレットを買って読んでたら
かな〜〜りストーリーが重いな、とは思いました。
でもあそこまで悲しい(というか怖い)舞台は久しぶり。
前に相葉ちゃんの舞台を観た時もラストで戦争が勃発して
相葉ちゃんの号泣で終わった「燕のいる駅」
あれも将来が暗かったけれど
今回の舞台は、さらに悲惨。
戦争真っ只中で3人の敵対する兵士が最後には
誰一人助からないんだもの〜〜(T_T)

登場人物

ボスニア兵チキ坂本さん
ボスニア兵ツエラ市川しんぺー

セルビア兵ニノ
内田滋

国連兵士ジェーン浅野温子

ストーリー

1993年、ボスニアとセルビアの戦争は、激しく
ボスニア兵のチキツエラは、前線と交代しようと草原を歩いていた。
夜中だったが突然砲撃されて塹壕の中に転げ落ちた。
知らないうちにセルビア陣営に迷い込んでいたのだ。
朝が来て、チキツエラが倒れて身動きしないので死んでしまったと思い
一人偵察に出る。
そこにセルビア兵のニノがやってくる。
倒れているツエラを発見、揺り起こしてみるが反応が無い。
そこでツエラ体の下に地雷を仕掛ける
見方の兵士がツエラの死体を回収しようと体を動かすと地雷が爆発する
ブービートラップだった。
その場を立ち去ろうとするニノ
だが戻ってきたチキにわき腹を撃たれる。
だがチキニノを殺さず、塹壕の外に裸で立たせて救助を求めさせた。
塹壕は NO MAN’S LAND=中間地帯だった。
そこは、ダレのものでもない、ゆえにダレでも攻撃対象になる地帯。
チキは、ニノをまるごしで助けを求めさせて
セルビア、ボスニア両国に自分の国の兵士だと思わせて
国連の救助を求めさせようとしたのだ。
だが逆にセルビアから砲撃される。
そのとき死んだと思っていたツエラが目を覚ます。
体を起こそうとしたツエラニノ
が叫ぶ。
「動くな!体の下に地雷を仕掛けた!」
チキは、銃でニノを脅しながら地雷の解除を要求した。
だが一介の兵士に教えられたことは地雷の仕掛け方とその威力のみ。
そのことは、チキも何となくわかっていた。
お互い銃を構えて張り詰める2人。
だが、その真ん中のツエラは、背中に地雷を仕掛けられている。
彼が体を起こすとその半径50メートルは吹き飛んでしまう。
3人がお互いを脅しあう中で次第に奇妙な交流が生まれる。
チキの彼女がセルビア人だということ
ニノがボスニア訛りがあること
ツエラは、争いがキライなこと
塹壕の中で3人は、思いがけず同じ歌を歌い、ひととき和やかな空気が流れた。

だがそこに国連のジェーンがやってくると事態は急変する。
ジェーンは、3人の現状を見て
「2人(チキニノ)は、国連本部へ一緒に来なさい。
そのうえで地雷除去の体制を整えてからあらためてここへ戻る」
と告げた。
ジェーンに従おうとしたニノ
チキ
「だめだ!俺は行かない。ツエラをおいて行けない。
そしてお前(ニノ)もダメだ!!」
と銃を向けた。
その弾は、ニノの太ももを貫いた。悲鳴をあげながら倒れるニノ
その様子を見て驚くジェーンチキ
「お前1人で本部に帰れ。そして地雷除去できるヤツを連れて来い。」
殺気立ったチキに、ジェーンは何とか努力してみると国連本部へ戻っていった。
打たれたニノは、命に別状は無いようだったが
少し前までの落ち着いた表情は消えて、
かわりにチキ
を横目でにらみながら「絶対に殺す・・・殺す・・・!」
恨みと怒りに満ちていた。
チキニノを睨み「ここを無事に出たら 絶対にお前を殺す!」と怒りの言葉を吐いた。
その真ん中で動けないツエラは、2人の殺気に嫌気がさして
「いい加減にしろ!動くぞ!!」と叫んだ。
しばらくしてジェーンが戻って来たが、残念なことに地雷除去のプロは呼べなかった。
そのことが引き金になり、「地雷はあたしが除去するから!」と止めるのも聞かずに
銃を構えたチキニノはお互いを撃った。
地面に倒れて動かなくなった2人を見て呆然とするジェーン
だが気を取り直して無線で本部に連絡をとりながら残ったツエラの地雷を除去しようとした。
だが本部はジェーンに帰ってくるように指示する。
本部は、最初から3人を助ける気など無かった。
とりあえず国連の活動をアピールできれば良いと考えてジェーンを塹壕に送ったのだった。
「死んだ兵士を1人、本部まで運んで来い。そして世間には
『3人のうち2人は撃ち合って死亡。残りの1人は瀕死だったが何とか救出し
国連の病院まで運んでいる途中で死亡』ということにする」
本部の指令は、無線を通してツエラの耳にも聞こえていた。
その場を動けないジェーンツエラは言った。
「行ってくれ。一人にしてくれ」
その言葉にジェーンは、走って消えた。
ツエラは、タバコを一服するとすっと身を起こした。
辺りに地雷の破裂音が鳴り響いた。

OPでステージの前からすっごい勢いでスモークが。
普段観に行ってる舞台とかコンサートの比じゃないくらいのスモーク。
舞台から客席までスモークが降りて
来て
前の方の席のお客さんは視界が悪くて大変そうでした(^^;)
舞台の照明が落ちると、客席の左の入り口から銃を構えた
坂本さん市川さんがそ〜〜〜・・・っと登場。
息を殺して客席の通路を歩きます。
そのスモークは、夜霧を表現してたらしい。
2人の会話から、内戦のためにやむをえず兵隊になったということがわかり
「ああ、2人とも戦争が起こらなかったら普通に生活してたのね」と思った。
で、ここまでは青白い薄暗い照明でした。
それで少しゆったりした気分でいたら
突然すっごい爆音&強烈な閃光!!
会場全体が揺れるほどの激しい爆弾の演出にびっくりしました!!
こんなの今までに体験したことないよ(^^;)
その次のシーンでは、チキツエラが塹壕に倒れていた。
爆風で吹き飛ばされたのね。
で、坂本さん、もといチキは、銃を構えて
辺りを見回して警戒。その表情が怖いったらないの。
倒れて動かないツエラを見て最初に「・・・チッ・・・」て舌打ちした
悔しそうなチキは、ツエラを殺されたことにすっごく怒りを感じていたのね。
だから偵察から戻ってきたときにセルビア兵のニノを見つけたとき
ためらいも無く銃撃出来たのかも。
わき腹を撃たれたニノ=内田さんの痛がり方がリアルで怖かった
撃たれた箇所を押さえて激しい息遣いでもだえ苦しむ姿は、今思い出してもイヤ(笑)
ツエラ=市川さんは、OP以外は全て舞台の真ん中で大の字に寝ていました

背中に地雷が仕掛けられているので起き上がれないの。
起き上がると地雷のスイッチが入って、散弾銃みたいに金属の破片が半径50メートルに
飛び散るんだって。
お互い敵の死体とか荷物の下に地雷をしかける→味方が死体の回収をしようとすると爆発→皆殺し
さらに怖いことは、ボスニア、セルビア、一般市民から入隊して最前線に行く人に
地雷の「仕掛け方」は教えてあっても「解除の仕方」は教えてないの。
まあ、戦争だから仕方ないのかもしれないけれど・・・。
だからツエラが生きていても地雷の解除が出来なければツエラは、死ぬまでそのまま。
そんなことは許せないチキは、事態をなんとかしようとセルビア兵のニノを殺さずに
色々な策をめぐらすんだけれど、なんといってもここは戦争の中間地帯。
両軍とも全く動
く気配が無い。たまに銃撃されるくらい(^^;)
そんな中で
ニノ
チキは、隙あれば銃を奪い、相手に突きつけて質問する
「先に戦争を仕掛けたのはどっちだ!?」
銃を突きつけられた方が「俺の国だ!」とくやしそうに答える。
もうどっちが悪いかなんて実際よくわからないのに
それでもお互いの国を憎んでいるから相手に負けを認めさせたいの。
緊迫する中で寝っぱなしのツエラ
「俺にも銃を。言うとおりにしないと動くぞ!!」
地雷の犠牲にはなりたくないのでこの時ばかりはチキニノはおとなしくツエラに従った。

3人の中では、地雷を背負っているツエラが一番怖い存在
「タバコをくれ!」「水をくれ!」「足がかゆい!掻いてくれ!」と言われれば2人は従う。
靴を脱がせてチキが右足を、左足をニノが掻くんだけれど
ニノの仕草がおかしい。ツエラの足の指を見て怪しい動き。
そう・・・
実はニノって男性が好きらしいのだ(笑)
チキは、ツエラがまだ気絶してた時にそれを察してたのでニノ
「かわいい指だな〜〜〜・・・と思って(*^^*)」と笑っていると
チキ「・・・好きにしろ。黙っててやる」ニノを止めなかった(爆笑)
でもツエラ
「何だよっ!!」と気味が悪そうでした(笑)
戦争の舞台だけれどここのシーンは、笑えた(笑)

全体的にお互いの運命を握っている状況なのにたま〜にほのぼのした場面が。
撃たれたのにニノチキに手を差し出し「俺の名前はニノ!」と自己紹介。
とっさのことでチキは対処できずに握手しなかった(^^;)
塹壕の中でツエラを真ん中にしてチキニノが銃を片手に座っている。
離れた場所でお互いをなじったり恨みの言葉を吐いたり。
でも会話の中で元は同じ民族だし共通する話題もあるので
次第に打ち解けていく。最後は一緒に歌まで歌ってた。
ああ、このままチキニノが和解してお互いを殺さずに友情が芽生えたらいいのに。

それから浅野温子さん。舞台は4人芝居。1人だけ女性。
ジェーンの一人でハイテンションでおしゃべりなところは場を和ませました。
それにしても浅野さんはスタイルが良かった!!
でもいくら明るくてスタイルが良くてもこの塹壕の3人は救えなかった。
チキニノが撃ち合って死んじゃったのは、今までの2人のやりとりを見てたら
ある意味「仕方ないか・・・」って思えるけれど
地雷を背中にずっと身動きがとれず、仲間の死を見て
しかも自分も助けてもらえないツエラの事は、かわいそうで仕方なかった(T_T)
国連本部の無線を聞いて地雷の解除の方法を懇願するジェーン
ツエラは静かに言った
「行けよ。もう一人にしてくれ」
ジェーンはやりきれない表情で塹壕を出て行った。
その後、ツエラは、ゆっくりとタバコをふかすと すっ・・・と身を起こした。
会場の電気が消えて暗闇中で爆音が鳴り響いた・・・・。
ツエラには、これしか今の状況から自由になる方法が無かったんだよね。
奥さんも子供もいるのに・・・・。
一番辛かったのは、ツエラ
かもしれないな・・・・。

最後は泣けちゃったけれどおよそ2時間の舞台中に
いったい何回「殺す」という言葉が出てきただろう?
最初は、ちょっと気分が悪かったけれど
聞いているうちにその場に慣れてしまいそうな自分が怖かったな。
それにしてもメインの3人とも全員死んでしまう舞台は、初めて。
坂本さん内田さんの引き締まった上半身裸を思う存分堪能できたのはラッキーでしたが(笑)

・・・ああ、こんなことでも無理やり書かなければ気分が暗くなっちゃって仕方ない。
やっぱり戦争は、ダメだよ。何も良いことは産まないよ。
つくづく自分が今の日本に生きていられて良かったと本気で思えた。
そういった意味では、この舞台を観て良かったと思います。
でも再演は・・・ちょっと観たくない・・・。悲しすぎるから。