今回の大ちゃんのプーは、最高だった。
センゴクプー バクマツバンプー テンセイクンプーの
全ての始まり、風助誕生の秘密。
役柄、劇中笑わない大ちゃん。
敵であるアツヒロさん演じる「山城不動」を睨みつける表情には
鬼気迫るものがあり、殺陣もすごくて、思わず
「うわ〜〜〜!あたしも睨まれたい〜!そして斬られたい〜〜!!」と
思ってしまいました。
ストーリーは、悲しくて悲しくて・・・・・。
大ちゃんの人生も悲しかったけれど、
大ちゃんを取り巻く人たちも悲しくて・・・。
こんなに泣いてしまった舞台は、なかったかも。
キャスト
凪 大ちゃん
山城不動 アツヒロさん
陽炎 松本まりかさん
仁雷 武田さん
虱 きだつよしさん
おりん 芦名星さん
ストーリー
戦国時代、戦国武将 山城不動に国を奪われ妹のおりんまで奪われた
凪(不動に名づけられた。昔の本名は不明)は、不動を倒し、妹を取り戻すことを心に誓い、
あえて敵である不動の配下になり、屈辱に耐えながら不動の命令のままに寺を討ったり
敵の主君の首を討ち取ったりしていた。
そんな凪の身を案じる、凪の国の忍び陽炎。
凪に兄を殺され、凪の命を狙う仁雷が「あんなヤツをどうしてかばう」と聞くと
「殿(凪)は、本当は心のやさしい人。あんなことがなければ・・・」と
凪の国に起こった事を仁雷に話す。
戦国時代、国の主君だった両親を不動に殺され、妹を奪われた。
幼かった若君は、命を助けられた代わりに不動の家来になった。
以来、若君は、本当の名を捨て不動に付けられた「凪」と名乗っていた。
そして凪は、あのとき以来笑わなかった。
陽炎は、そんな凪を心配して密かにそばについていた。
だが凪は、そんな陽炎に「もうお前の主ではない。去れ」と冷たく言い放つ。
見かねた仁雷が「あんなやつのことは、もうかまうな」と陽炎を諭すが
陽炎は「殿が笑顔を取り戻すまで守る」と凪を追いかけ続けた。
不動の城に、占い師が招かれる。
だが、ニセモノの占い師であることを凪に見抜かれて
城から逃げていく。
ニセモノの占い師は、不動に「月が2つあがるときに不吉なことが起こる。小さいムシに気をつけろ」と
予言して逃げていった。
不動は、ニセモノの予言とはいえ、何かが起こる気がしてならなかった。
この占い師、実は、かつて凪の国を滅ぼした不動の手下「虱=しらみ」だった。
凪の妹おりんを不動に献上したのも虱。
だが、そのとき以来、虱は刀を捨て、神ノ岳と呼ばれる魔の山にこもっていた。
不動の命令で、神ノ岳を征服するよう命じられた凪は、
山の中で虱と再会する。
そして神ノ岳が、かつて不動の父親が息子の不動にも秘密にしていた
金山だということを知る凪。
「山のことを不動に知らせるのか?」と聞く虱に
凪は「言わぬ」と約束する。
2人の間に何か通じるものがあった。
虱は、凪に「この世界から出て、2人で風にならんか?」ともちかける。
刀を捨てて、むやみに人を斬るようなことはやめて自由に生きよう、というのだ。
一瞬戸惑う凪。そんな凪に虱が「また遊びに来いよ」と手を振ると
つられて凪は「おう」と返した。その顔は微笑んでいた。
陰からその様子を見守っていた陽炎には信じられなかった。
「殿が・・・殿が笑った・・・・」
成り行きで陽炎にしつこくつきまとう仁雷も凪の様子が変わったと思ったかもしれない。
城に帰り、虱との約束どおりに神ノ岳の秘密は、守った凪。
だが不動は、凪の様子から何かを隠していると察知して
凪を試す。それは、城の先に織田の砦があるからそれを一人で壊滅させろ、という命令だった。
しかも3日以内という期限付き。
それでも凪は、一人で命令を遂行しようとする。
そんなタイミングで虱が現れた。
凪は、風になろうと誘ってくれた虱にうしろめたさを感じながらも
虱にウソをつき、知恵を出させて、川をせき止めて大量の放水で織田の砦を破壊するという策を聞き出す。
そして陽炎と仁雷に手伝わせて織田の砦があるという海辺の集落の上、
山のくぼ地に水を溜める。
そして計画を実行しようとしていると、農民達が襲い掛かってくる。
3人で必死に抵抗するも、農民の襲撃は止まない。
ワケがわからない凪は夢中で、「やめろ!」と溜めた水を決壊させる綱を斬った。
濁流に飲まれていく陽炎、そして農民達。
農民達は、水に飲まれながら凪に「おら達の村を・・・!なんで・・・・!!??」と叫んだ。
「・・・村・・・?」
不動の城に帰った凪は、不動から織田の砦などは初めからなかった、
凪を試そうとしただけだ、と言った。
罪のない農民達を大勢殺してしまったことに愕然とする凪。
陽炎も大怪我をし、瀕死の状態。
さらに事件を聞きつけた虱が凪に「見損なった」と吐き捨てた。
絶望と怒りで、不動を倒そうと走る凪。
だが不動は、影武者や配下のものを遣い、逆に凪を追い詰める。
逃げる凪に、瀕死の陽炎が「早く行ってください」と敵の足止めを引き受ける。
だが、大怪我の陽炎に全部の敵を食い止められるはずがない。
待っているのは「死」
凪は、陽炎に「ここでじっと隠れていろ。必ず助けに来るから」と言う。
だが陽炎からかえってきた言葉は「誰に向ってものを言ってるんですか?あたしは忍びですよ・・・」
その言葉に後押しされ、凪は神ノ岳へ走った。
陽炎を助けようと仁雷が不動の手下と応戦。
だが多勢に無勢。「お前の握り飯、もう一度食いたかったなぁ」と言い残して仁雷は死んだ。
陽炎は、それを見届けて、自分の体に仕込んだ大量の火薬とともに
不動の手下を巻き添えに谷に落ちた。
谷で響く爆音に、陽炎と仁雷の最期を知った凪。
一人で走るうちに神ノ岳で虱と再開する。そして凪の国を襲ったのが自分だと告白する。
それ以来捨てていた刀を握り、追ってきた不動と戦う虱だったが
不動の刃に倒れた。
いよいよ不動と凪の一騎打ち。
だが、不動はすでに不治の病に冒されていた。
非道のかぎりをつくしている不動だったが
不動にも悲しい過去があった。
不動の強さを恐れた実の父親が、不動を殺そうとしたのだ。
若かった不動は、自分を守るために父親を殺したが、
それを見ていた愛する実の母親が「殿を・・・!」と自害。
実の父に殺されそうになり、実の母に「夫殺し」呼ばわりされて
強烈なトラウマができていた不動は、亡き母に似ているおりんを心から愛していたのだと思う。
おりんに「子供はいらない。自分の子供に殺されるかもしれないから」と時折言っていた。
そんな不動が、自分の子供の代わりに跡取りと認めていたのが凪だった。
凪を不動なりのやりかたで鍛え上げていたのだ。
病で息絶えた不動の代わりに妹のおりんから全てを聞いた凪は混乱する。
さらに今まで健気な妹を演じていたおりんの豹変。
「兄上が、いつか助けてくれる、と思っていたけれど・・・。
そのうち考えが変わった。『この人には何も出来ないんだ』って・・・」
長い間に心を病んだのかもしれない。
不動が死んで、自由の身になったおりんは、不動の手下をしたがえて
神ノ岳の金山を前にして、「これはみんな私のもの!」と笑っていた。
そんなおりんに絶望した凪は、神ノ岳を崩した。
後に残ったのは、がれきの山と岩。
金は、跡形もなく砕けて谷底へ。
金山が消えたことで取り乱すおりんを静かに見る凪。
すがるおりんに凪は「今日からお前とは兄妹ではない。お前は自由だ。どこへでも行け。」
と、縁切りをした。
そして、虱が夢見た風になるために掲げていた旗の切れ端を首に巻くと
遠くを見つめた。海の向こうで「風」になるために。
キャストが最高でした。
大ちゃんは、センゴクプーで演じたコミカルで争いのキライな「風助」とは正反対。
一国の若君だったから当然名前はあったはずなのに
不動に「お前の風は止まっている。だから凪=なぎだ」と名づけられてあざ笑われても
じっと耐えている。
でもその目は確実に不動を睨んでいる。
不動との殺陣は、圧巻。
アツヒロさんが全身黒い衣装で黒い長髪ですごむ姿と
凪が金髪に近い髪で身軽に飛び回る姿・・・・かっけ〜〜〜〜〜!!
大ちゃんは、不動の血も涙もない命令を成功させるたびに
妹おりん(不動の后になってる)と面会が許される。
でもあくまでも主の后と家臣という関係。
自由に話もさせてもらえない。
で、そのじれったい様子を見て笑い、最後に「凪に褒美をとらせろ!」と
凪のキモチとはかけ離れた「昇格」を与える。
ま〜〜、かわいそうな凪(T_T)
大ちゃんは、小柄ですがその分キレがあるし身軽なので
殺陣やアクションがカッコいい。
セリフもすごみがあって、普段嵐のキャプテンやってる人とは思えない(笑)
以前演じていたプーシリーズの沖田総司もカオルも
それぞれ影と宿命を背負っていたけれど
凪の比じゃないかも〜〜〜(T_T)
この残酷とも言える運命に翻弄された凪が
刀を捨ててしゃもじを持って農民の見方になる「風助」になるんだけれど
風助が首に巻いていたスカーフ、あれが今回最初で最後の友人だった虱の旗だったのね。
そんなことも判明して、前作とのつながりもわかってかなりジ〜ンとしました。
大ちゃん、あたしゃJrの頃からあなたを追いかけていて良かったよ(笑)
でもそんなかわいそうな凪を慕ってそばにいる忍びの陽炎。
この陽炎が!!陽炎が健気でかわいかった!
松本まりかちゃん、SHOCKのリカよりもステキでした!!
陽炎と武田さんの仁雷の掛け合いがこのシリアスな舞台で唯一笑えたシーンかも。
陽炎が小さい体で凪を守ろうとしているところに
行き倒れの山伏姿の武田さんが(^^;)
凪のために作ったおにぎりだったけれど、凪が食べてくれなかったから
空腹で死にそうな仁雷に食べさせてあげた。
そしたら仁雷さんは、陽炎に一目ぼれ。
「観音様〜〜〜〜〜!!オレの女房になってくれ!!」と
陽炎を追い掛け回すの(笑)
でも陽炎は、そんな仁雷を思いっきり足蹴にしたりして(笑)
そのドタバタは面白かった。
武田さんは、存在そのものが面白いのでちょっとしたセリフやアクションが
いちいちぬーのツボにはまってしまった。
最初のほうは、そんな仁雷のちょっとズレた感覚と
陽炎のキレキャラが面白いだけでしたが
終盤で凪のために全てをかける陽炎のサポートをしてくれた仁雷。
なんか・・・惚れた女に尽くすって・・・男前。
最期に凪を生かすために自らは死ぬ覚悟の陽炎が
仁雷に「殿を守って!!守ってくれたらあんたと夫婦になってあげるから!!」
って言って、あくまでも自分ひとりが敵の盾になろうとして
そんな陽炎を見捨てられなくて敵の前に戻ってきて命がけで守ろうとした仁雷の
「バカヤロー!お前が死んだら祝言あげられねーじゃねーか!!」
っていうセリフ。
今思い出しても切なくて涙が出てくるわ。
仁雷が自分を守ってくれたのを見届けた陽炎が
怒りに震えて瀕死の体で泣きながら「あたしの亭主をよくも!!」って
絶対勝ち目のない敵に向かって言った姿、忘れられません(T_T)
2人とも最期がものすごく報われない、悲しい姿だったけれど
きっとあの世で夫婦になったんだろうなあ。そうなっていて欲しいです。
きだつよしさんは、この作品を作った人。
今回は自分も出演していました。
虱(しらみ)という名前の人物でしたが、この人も凪みたいな辛い人生を送っていたのかも。
凪の両親を殺してしまったという罪のお詫びのためだったんでしょうか、
あの状況なら一人で逃げられたかもしれないのに
あえて不動に向っていった虱。
出来れば生きて凪の友人でいてほしかったな〜。
それから不動のアツヒロさん。
いや〜〜〜、悪かった。とことん悪かった(笑)
こんなにヒドイ主君がいただろうか?
て、ゆ〜か普通の人なら自分の命を狙うヤツをわざわざ手元に置かないか(^^;)
さすが新感線の役者さんだ(そうだったか!?)
でもムリヤリ捕まえてきて后にしたはずの
おりんちゃんが怖がりながらも不動を気遣っていたから
根っからの悪じゃなかったのよね。
自分の父親に殺されそうになって母親が自殺して
本当はさみしい人なのかも。
強くなることで自分を守ろうとしてたのかも。
それに時折「・・・バカなのか!?」って思うような
とぼけた発言もしてた。
しかもボケるときはめっちゃかわいいのよ。
ニセ占い師が不吉なことを予言してそれが心配になった不動が
悩んだ末に出した答えが「月は、2つは無い。空に1つしかない。
だから予言は当たらない」というもの。
家来達に「月はひとつじゃ(^_^)」と指で1つしかない、という
ゼスチャーをしてた不動はおちゃめでした。
結局最後は、病気(多分胃がん)で死んでしまいましたが
ライオンが子供を谷底へ突き落として上がって来た子供だけを育てる、というような
超スパルタな修行を凪にして、
自分がいなくなったときには、凪に自分の国とおりんを守らせようとしてたなんて
何だか、悪い人でちょっと跡取りの鍛え方に間違いがあったけれど
それでも不動は、憎めなかったな〜〜。
そしてこの舞台のキーパーソンだったおりんちゃん。
おりんちゃん・・・・あんたが一番悪い(笑)
自分の兄が命がけで自分を助けようとしてるのがわかってて
自分を人質にして過酷な命令を続けて苦しんでる兄ちゃんを見て
何も感じないのか?
そのうえ不動のことを心底嫌ってはいなくて
さらにその不動はもうすぐ病気で死が近いって知ってて・・・
と、ゆ〜ことは・・・!
早く兄ちゃんに言えよ!「ムリして助けなくても平気」って!!
兄ちゃんがかわいそうじゃんか〜〜〜!!
おりんちゃんが不動に怖い目に合わされてると思って
頑張ってたんだぞ〜〜〜!兄ちゃんは。
で、不動が死んじゃったら開口一番「バカな兄上!」だって(^^;)
その上、自分のダンナが死んで金山を手に入れたら
不動の手下といい感じじゃない(-_-;)
そんな豹変した妹を目にした兄ちゃんの怒りは並大抵の衝撃じゃなかったと思うよ。
でも最後に金山を崩されて、手下も谷底へ落ちちゃってたった一人に。
そしたらお兄ちゃんにすがろうとしたけれど後の祭り。
たぶんあのまま崩れた山に一人で残されちゃったんだろうね。
最後に凪を捨てて風助になった大ちゃん。
全てが吹っ切れた表情をしてました。
すっごくカッコよかった!
自分のために消えていった陽炎や虱のためにも幸せな世の中を作って欲しいなあ。
本当にいい舞台でした。
こんなに泣いたのは久しぶり。
DVDでないかしらね。
それにしても大ちゃんの舞台って本人がとことん救われないな(笑)