長野博の舞台(なぜだか呼び捨て)「フライパンと拳銃」を観にいってきました。
タイトルからは「?」な感じでした。
そしてパンフレットは、カッコつけてフライパンに乗ってる博。
何か・・・楽しそう♪
なのに、グローブ座に入ると
客席入り口に白黒の垂れ幕&ちょうちん。
そのちょうちんには「磯崎」の文字。
これって・・・・・まんま葬式ですやん!!
相方のぱんたさんは「いや〜〜〜・・・気味悪い・・・」と逃げ腰。
そして席に着席すると・・・いつもと違う雰囲気。
客席もなんとなくおとなしい。
なんでかな〜〜〜〜!?と思い、舞台に目をやると・・・・・
舞台上もすっかりお葬式。
お経&木魚のリズミカルなサウンドがエンドレスで流れて
舞台の上には白い布団を頭までかけられたご遺体が〜〜〜〜〜〜!!!
いや〜、いままでけっこう舞台を観てきたけれど
会場に入ってここまでビックリしたのは始めて。
驚いていると今度は、会場アナウンスが。
いつもの観劇上の諸注意なんだけど、
「本日は、磯崎家の葬儀にお集まりいただき・・・」と始まり
あくまでもぬー達は、葬儀に参列する人の扱い(笑)
アナウンスはおごそかに
「本日は、故人の遺志で非常灯を点灯いたします・・・
なお、写真撮影、ご飲食、ご喫煙は、ご遠慮ください・・・
また、ご遺体は、携帯電話の電波に過敏に反応いたします」と続いた。
その間舞台上のご遺体はぴくりとも動かなかったけれど
このご遺体は、一体誰なんでしょう。
ストーリーは、わりとわかり易かった。
磯崎家の父ミツル(斉藤暁さん)の死が伝えられて
有名リストランテのオーナーシェフである息子ノリアキ(博)が斎場へかけつける。
そこにはミツルの変わり果てた姿が、と思ったらじつは蝋人形。
ご遺体のそばにいるタケイに「これはどういうことだ!」と詰め寄る。
実は、ノリアキの父親ミツルとは、ノリアキがお金で雇ったニセの父親。
ノリアキの正体は、ヤクザの大宮組の幹部でタケイは部下。
カタギの女性と結婚したかったノリアキは、お金で架空の戸籍&架空の親戚&父親を作り
リストランテ『ノノ』をお金で乗っ取り、
「リストランテ『ノリ(名前をさりげなく替えて(笑)』」のオーナーシェフとして身分も偽り
カタギのシズカ(富田靖子さん)と結婚していた。
そんな中、ミツルが失踪。
そのミツルが借金を抱えていたことも発覚したため
部下のタケイが「死んだことにしちゃいましょう」とこの葬儀を計画したのだ。
でも人目見ればご遺体がニセモノだとバレてしまう(笑)
怒るノリアキに対してタケイは
「大丈夫。この斎場も大宮組の息のかかった場所だし
会場の係りもちゃんと組の関係のヤツですから。」と暢気。
そこへ会場係りの「シゲタタマヤ」と名乗るカザポンが登場。
暢気なタケイとお調子モンのシゲタに不安を抱きつつも
もう後戻りは出来ないので仕方なくノリアキも話を合わせることに。
そこへ奥さんのシズカ(富田さん)とそのお母さん(野川由美子さん)が駆けつける。
ミツルのご遺体を見たい、というシズカと母親を
必死で止めるノリアキ達(そりゃそうだ)
ずっと隠し通せるはずも無いので
タケイが「本物の死体を用意します」と出て行く。
その間、シズカが「お父さんはきっとノリアキの料理を食べたいとおもうの」と
案を出したため、葬儀のお清めの料理をノリアキが作ることに。
でもノリアキは、お店ではスタッフに任せきりで自分で料理したことがない。
それで、急遽店を休みにしてスタッフのナオミ(黒川芽衣)をナイショで呼び寄せて
こっそり料理を作ってもらうことに。
そうしてバタバタしていると、タケイが救急車ごと盗んできた死体が到着(笑)
ところがその死体、敵対している山田組の組員だった。
とりあえずその死体をロッカーに隠すノリアキ達。
そこに「救急車強奪」の事件を追う刑事や
山田組の幹部松川(高杉亘さん)が乱入して斎場は騒がしくなってきた。
ノリアキは、シズカやシズカのお母さんをごまかしたり、
死体&蝋人形を隠したり、山田組の松川とにらみ合ったり大忙し。
ぐったりしてるノリアキに今度はシズカの秘密が・・・・。
シズカは、実は山田組の娘。
弟が大宮組と山田組の抗争で死んでしまい、
元々組を継ぐ意思などなく、シェフになりたがっていたやさしい弟を偲んで
リストランテに通っているうちに、ノリアキと出会い、
カタギの人と結婚したい!とこちらもニセの母親を雇って
ニセの家族を作り、ノリアキと結婚したのだった。
そして行方不明だったミツルが葬儀の直前に戻ってきてさらに混乱。
さらにシズカの弟は、組の松川が殺したことも判明してさあ大変。
そしてさらにさらに会場係のシゲタも大宮組の関係者ではないことがわかって・・・・・。
最初は、お葬式の話だからちょっと湿っぽいのかな、と思ってたけど
なんのなんの、面白すぎ(笑)
ノリアキ、タケイ、シゲタの掛け合いが絶妙〜〜〜〜〜(>▽<)
極道の幹部でもあるノリアキは、ドスのきいた声も出すんだけど
やっぱりそこは博(笑)
声がさやしいからあんまり怖くなかった。
奥さんとのなれそめは、行きつけだったリストランテでいつも違うメニューを注文している
さみしそうな彼女に一目ぼれ。
カタギのお嬢さんとつきあいたくて
お金でお店を乗っ取り、そこのオーナー顔をしてシズカに近づき
さらに口からでまかせで「ここのオーナーシェフです!」と言ってしまったから
そのまま訂正も出来ずに結婚した今までず〜〜〜っと
「お店のオーナー&有名シェフ」ということになってた。
けっこう雑誌とかでとり上げられて有名になったノリアキは
「厨房で腕を振るっているところを公開しないこだわりのシェフ」という
これまた女性が食いつきそうな肩書きを持っている(笑)
そんな事情を全くしらない世話役のシゲタ(カザポン)は
ノリアキを人目見るなり
「いや〜〜〜〜!!カンゲキですう〜〜〜〜〜!!!!」と
純粋に大喜び。
そんなはしゃぎようにタケイとノリアキは大慌て。
だってうっかりすると今まで隠してきたノリアキの正体が
シズカにばれちゃうから(笑)
であったしょっぱなからタケイとシゲタは気が合わなくて衝突してばっかり。
タケイはシゲタを「ハンダ」と呼び間違えて
シゲタはタケイに対して小ばかにした生意気な態度を取り続ける。
この2人の掛け合いが面白かった。
カザポンの役どころは、斎場の世話人。
なんでも大宮組の組長さんから「こう見えてなかなかのやり手」だということで
やってきたシゲタ君。
小柄でキャラ設定が軽い(笑)
でも要所要所で死体隠しとかシズカ達をさりげなく理由をつけて退室させるとか
確かにやり手だった。
死んだと思っていたノリアキの父親役のミツルは、
実はノリアキに雇われる前は、普通に家庭を持っていた。
ところが奥さんと娘に愛想を尽かされて
一人で暮らしていたが、ノリアキの父親役をやっているうちに
ホンモノの家庭が懐かしくなり、訪ねていったものの
門前払いされ、再び訪ねたらしでに妻と娘は引っ越してしまった後だったという。
サラ金で借りた借金もふくらみ、いっそ死んだことにして
姿をくらまそうかと思っていたら
自分の葬式が執り行われていた、という事。
帰って来たところをノリアキ達に見つかり、
シズカ達にバレないように蝋人形に代わって
本人が死んだ役をつとめるという
わけのわからない展開になった(笑)
シズカの母親役の野川さんが死体(の役)に向って
「あたし・・・あなたと一緒に生きたかった」との告白に
ミツルが飛び起きて「僕があなたを幸せにします〜〜〜〜!!」と答えたら
野川さんが「ぎゃ〜〜〜〜〜!!!ミツルさんのゾンビ!!!!!」→そりゃそうだ。
その後もミツルさんは、死体になったりノリアキを諭したり大忙し。
でも最後は、松川の銃弾に倒れて本当にかえらぬ人になってしまった。
笑っていいのか泣いていいのかわからないほど展開が速かった。
でもノリアキがシズカの正体を知り、離婚を考えた時
ミツルが励まさなかったら2人は別れていたのかも。
それからお店で料理をしたことがないノリアキに
「私は、ノリアキさんが作ってくれたあの料理・・・あれが好きだな。
あったかいし、お店に出しても大丈夫だとおもうけどな」と
ノリアキに自信を持たせるような励ましもくれたし
ある意味本当にノリアキの父親みたいでした。
死んだ振りしてた時のゾンビのフリも面白かったしね。
山田組の松川(高杉さん)は、出てきたとたんに「うわっ。ホンモノっぽい」と思った(大笑)
背が高くて顔が怖くて声も怖い(^^;)
そして「お嬢さん・・・相変わらずお美しい・・・・」と怪しいセリフ(笑)
そう・・・極道にありがちな「お嬢さんに惚れる極道の幹部」という設定。
最初は、自分の組の組員の死体を捜しに来たんだけど
警察が来たり、シゲタのフォローでなかなか自分の仕事が片付かない。
その上で、ノリアキが殺してしまったと思っていた
シズカの弟の直接の死因や、その時の状況を
シゲタが少しづつ解き明かしていったら
シズカの弟を後ろから撃ったのが松川だとわかり
追い詰められた松川は、うっかり3階の窓の外へ。
一瞬足元を見た松川さん、一言「あ。」と軽く言い残して
地面へ消えていきました(笑)
さてさて、いい働きをしたシゲタ君。
それが単に興味本位だったのか、ノリアキの役に立ちたいのかが謎なんだけど
そこへ大宮組から連絡が。
なんとシゲタという組員自体が存在していないことがわかってしまった。
「お前は一体誰だ!?」みんなに詰め寄られると
正体がはっきりしないまま、3階の窓からフッと外に消えてそれっきり。
下には落ちたはずのシゲタの姿がない。
呆然としているノリアキ達に
消えたシゲタの残していったタケシ(シズカの弟)の事件の新聞の切り抜きや
手紙(日記だったっけ!?)を見つめていたシズカが
「シゲタタマヤ・・・・しげたたまや・・・・!
反対から読んだら・・・ヤマダタケシ・・・・・!?」
シゲタの不思議な行動や名前に過去の事件の真相を暴く遺志があったのだと
気付いた(感じた)シズカが「あの子(弟)が来てくれたのかも・・・・」と
予定調和的なセリフで締めくくり、
消えたシゲタタマヤの正体は、イマイチはっきりしないまま(^^;)
それでもシゲタの存在のおかげで何となく2人の関係が元に戻りつつある・・・?
そこでノリアキがマジメにゆっくりと
シズカに「お父さんは怖い?」と尋ねる。
シズカのお父さん(対立する山田組の組長)に挨拶する覚悟を決めたのね。
男前だわ〜〜〜〜(笑)
2人とも自分の身の上を偽って夫婦をやってきたけれど
それでもお互いに愛し合っていたのよね。
お互いが対立する極道の組の人でも、それは関係ないのよね。
で、本当に亡くなってしまったミツルの葬儀の前に
ノリアキは1人キッチンへ。
今まで料理は全て店のスタッフ(ノリアキの愛人だったらしいけど)に任せていたけど
今回のゴタゴタでせっかく呼んだスタッフも帰ってしまったので
自分で作るしかないの。
でもミツルの遺言になってしまった「ノリアキさんの手料理」を
本人の希望通りに作るんだから結果としてはオーライ(?)
それを聞いたシズカは「一緒にキッチンへ行ってもいい?」
そして2人揃ってキッチンへ向って行って、おしまい。
前半は、死体とか極道の抗争とかアクションも多かったし
絶妙な掛け合いやドスのきいたセリフも多くて
面白くて派手な舞台運びでしたが、後半ミツルが死んで
シズカの弟の死因もわかってからは
なんか夫婦の間には、激しい争いや罵り合いもなくて
非常に静かな会話が多かったです。
でもかえってそれが終盤盛り上った感じがして
観終わったときには、ちょっとじ〜〜〜んとしちゃいました。
お互いを思いやる夫婦愛、家族愛について感じることが多い舞台でしたよ。
・・・・ふっ・・・・だけど博の舞台って
演じるのが難しくて
ブラックジョークの効いたものが多いな。
でもそんなハードルの高い所を頑張ってる博がステキ(笑)