血は立ったまま眠っている  ICON26B.GIF - 2,668BYTES



剛ちゃんの舞台を観に行ってきました。
シアターコクーンなんて何年ぶりだろう。
ニノちゃんの舞台以来かな。
座席が2階のバルコニー席。
舞台から向かって左側でした。
蜷川さんの演出ということで
「難しいかな〜〜〜・・・」と心配でしたが
見事に予感が的中(?)

開演時間が過ぎても中々始まる気配がなくて
客席もざわざわしていました。
で、気づくと舞台の後ろの鉄扉が全開になっている。
ぬーは2階席の前列端っこの席で舞台の全部が見えなかったから
気づくのが遅かった。
全開になった鉄扉の向こう側は普通に舞台の搬入口
自動車が行き来してるし、その向こうは普通に渋谷の街中。
道路をたくさんの人が歩いているのが見えます。
そんな時間がしばらく続いていたら
搬入口から旗を掲げた役者さんたちが「わ〜〜〜〜!!」
奇声を上げながら飛び出してきて
舞台を駆け下りて客席の通路を走り抜けて行きました。
そこからは、蜷川さんの世界。
儚くもあり悲しくもあり・・・・
何ていうか、「・・・・戦後の昭和だな〜〜〜・・・・」っていう感想。
暗くて汚くて裕福でなくて・・・・・
ああ、並べてるとこっちが暗くなるわ(^^;)

ストーリー
(と、言っても正直グロい表現がたくさんあったからそこは書けない)

時代は1950〜60年ごろ。
倉庫に住み着く灰男はいお)=窪塚洋介。
いつも灰男にくっついている(りょう)=GOちゃん
彼らは革命をおこそうと日夜破壊活動に精を出している。

町の床屋では、リンゴの相場を操作する闇取引を画策する
怪しい住人達(そばかす、ズベ公、チンピラなど)が
ひたすらずるずると時間をもてあましている。
床屋の天井には首吊り死体。
ズベ公の一人が「ねえ、なんで死んだの!?」と繰り返し死体に問いかける。
床屋の息子は、ひまつぶしとばかりに猫を殺そうとする。
そんな毎日が繰り返されていた。

倉庫では灰男の思想に傾倒して少しでも灰男に近づこうと
が自衛隊の壁に落書きを繰り返す。
そんな灰男は「やることが小さすぎる」とダメ出し(そりゃそうだ:笑)
ある日倉庫に一人の少女、夏美=寺島しのぶ が現れる。
彼女はの姉だった。
そうとは知らずに夏美に手を出す若きテロリスト灰男
手を出した後に「すまないことをした」と詫びたが
夏美は「いいの」と、どうやら灰男に惚れてしまった模様。
ここからテロリスト灰男とテロリスト見習いの
そしてとはまったく毛色の違う姉夏美の奇妙な交流が始まった。

そうしているうちにテロリストであるはずの灰男の心に変化が起きた。
明らかに詩人の夏美の影響で
破壊活動が本当に意味のあることなのかわからなくなってきた。
変わってしまった灰男に落胆する

そこに新聞記者だという男が現れて
「新聞記事にでっちあげるために、自衛隊にダイナマイトをしかけろ」
とそそのかす。
本物の破壊活動が出来ると喜ぶ
あんまり乗り気ではない灰男
煮え切らない態度の灰男に見切りをつけた新聞記者は
内緒で
にダイナマイトと拳銃を渡して
「灰男を殺してお前が英雄になれ」と言葉巧みに誘った。
夏美灰男との関係に苛立っていた良は
新聞記者から拳銃とダイナマイトを預かると倉庫へ。
暗闇で拳銃を構えて灰男の帰りを待つ

人の気配がしたので一気に拳銃の引き金を引くと
そこに倒れたのは夏美だった。
「僕は灰男さんを殺すつもりだったんだ・・・・」
姉を抱き起こして詫びる
そこへ灰男
が帰ってきた。
「これは・・・どうしたことだ!」怒りで震える灰男
事の次第を話す
真相を知った灰男
は「バカが!記者におだてられていい気になったんだろう!」
を叱責。
謝るだったが夏美は助からなかった。
しばらくすると、灰男は怒りのままに
「オレがダイナマイトをしかける!」とダイナマイトを持って出て行った。
一方は新聞記者に会いに床屋の裏手のトイレへ。
姉の死より灰男
の復活に喜ぶ良。
「灰男さんが自衛隊にダイナマイトを仕掛けます!」
その報告に記者は笑い
「あのダイナマイトは偽者なんですよ。
愚か者として新聞記事になるんですよ」
初めから若きテロリストに愚かな破壊活動をさせて
それを面白おかしく記事にしようとしていたのだった。
「最初から僕らをだますつもりで!」愕然とする

一方リンゴの相場で儲けようとしていた住人達は
床屋の告げ口で相場の儲けに失敗。
裏取引で儲けそこなった腹いせに床屋をリンチに(^^;)
瀕死の床屋を見た床屋の息子は
その哀れな姿を笑い、助けようとしなかった。
リンチと闇取引で自ら警察に出頭した住人達は
刑務所が町よりも楽しく暮らせそうだったので大喜び。

記者のカメラのフラッシュを浴びてただ宙をみつめる
ところが突然大爆音が聞こえた。
灰男
が本当に自衛隊にダイナマイトをしかけて爆発させたのだった。
それを観て仕掛けた記者たちは大慌て「そんなはずはない!!」
一方良は、まるで魂が抜けたように床屋の首吊り死体に話しかける。
「キミ・・・・ねえ、キミ・・・!!」


と、こんな感じで公演は終わりました。
難しい、というか、ぬーの好みのストーリーじゃなかったな。
出演者一人残らず「病んでる」って印象。
時代のせいだったのかな〜?
本当に昭和30年代がこんな状況だったら
正直そんな時代に生きていなかったことに感謝です。
まあ、舞台の演出だから大げさなのはわかってるけどね。

まず主演のGOちゃんは、3作目の舞台ですかな!?
今回のキャラクターが一番カッコわるいキャラでした(笑)
テロリストを目指してるんだけどやる「破壊」が壁に落書きよ、落書き(笑)
単純で純粋だったから最後に実の愛する姉を殺してしまったショックと
記者にだまされて灰男を自衛隊に送り込んでしまった罪悪感で
自分を完全に見失ってしまったんですね。
目の前にハエでも飛んでいるかのように時折手を振るしぐさが
「あ。イっちゃったね」って感じで上手でした。

窪塚君は
、これは好みの問題かな〜!?
とっても丹精なお顔立ちで、すっごく立ち居振る舞いはキレイだったんだけど
発声がイマイチ(^^;)
どうしても棒読み感が否めなかった・・・・・。
たとえば怒りに震えて良に「これはどうしたことだ!!」って言うセリフがあったんだけどさ、
な〜〜〜んか力が抜けてて全然迫力がなかったような気がします。
生い立ちもわからないし、最後までナゾの人でした。

その他の出演者の方々もすっごく個性的。
六平さんは、怪しい猟奇的な床屋さんで、リンチにあったとき
口に含んだ水を吐き出したんだけど、
それが客席のお客さんを直撃。(気の毒だわ)
白衣にいつもがついてるし、剃刀でお客さんの髭を剃るときに
とってもうれしそうな顔をして・・・・・コワッ!

そしてその床屋の息子は、興奮するといちいちパンツ一丁
になっちゃう。
そしてパンツ姿で客席を駆け回るの。
いつもズボンの中に両手を入れてるし、
その手がいつもあやしい動き。
普通のドラマだったら放送ギリギリだろうな〜〜〜(^^;)

それから舞台が床屋で、その裏手にある公衆便所らしき場所が不思議な空間で
便器の中から役者が飛び出したり、
床屋の息子は便器を覗き込んだり猫を投げ入れたりと
気味の悪いシーンが目白押し

それに役者さんもすっごくガリガリで摂食障害なのかな!?
と思えるような病的な女優さんや
表現がいけないかもしれないけど小人の役者さんが2人。
姿はまるで幼稚園児みたいな背格好なのに
振り向くとオッサン。
顔とカラダは大人サイズなのに手足がみょうに短い
バランスの悪いスタイルのオッサン。
そんな2人が本筋とあんまり関係のないことをずっとやってるの。
たとえばセリフを喋ってる役者さんたちの横で縄飛びとか(^^;)
その2人の不思議な存在感が
あの暗い雰囲気にさらに不安と怖さを加えてたみたい。

申し訳ないけれど
公演開始からほどなくぬーはちょっと気分が悪くなりました(^^;)
他のお客さんは何でもなかったのかしら?

GOちゃんは年々難しい舞台をやるわねえ(^^;)
こんなに暗い舞台じゃなくて荒神みたいな痛快な舞台を見たいな。