剛ちゃん舞台 ICON26B.GIF - 2,668BYTES  

森田剛ちゃんの舞台を観てきた。
去年の金閣寺、当たっていたんだけれど
月曜日の夜7時に赤坂ってきつかったので
仕方なくチケットを手放したのだった(行けよ、がんばれよ、自分)

当日は、東京が10年ぶりの大雪の日。
渋谷駅から文化村までの道のりが遠い遠い(^^;)
あんなに歩きにくかったのは初めてですわ。
天気も悪いし足元も悪いし
おまけに今回の舞台は蜷川さんの演出か〜・・・不安・・・。
ぬーは、個人的に蜷川さんの舞台って難しくて苦手で(^^;)
いつも暗くて汚い印象なんだよね、そういう内容の舞台って苦手。
舞台は、笑える元気なものが好き。
でも、ほかならぬちゃんの舞台だから・・・(笑)

タイトルは「祈りと怪物〜ウィルヴィルの3姉妹」
OPから「あ。やっぱりダメかも」って思った。
ストーリーのあらすじを出演者がラップ調で歌って進行していくんだけれど
なんだか前衛的だな〜。
肝心のストーリーも複雑だった。

トビーアス=剛ちゃん
パブロ=満島真之介
ダンダブール=橋本さとし
パキオテ=三宅弘城
グンナル司祭=古谷一行

ドン・ガラス=勝村政信
バララ=原田美枝子
テン=中嶋朋子
マチケ=宮本裕子

他にもたくさん演者がいましたが
エイモス邸の家政婦メメ役に伊藤蘭さんがいました。
キレイだね〜、ランちゃん。

まずウィルヴィルは、架空の国の架空の町。
そこにエイモス家というお金持ちで権力のある家がある。
エイモス家は、船を襲い金品を奪い、それを生業として私腹を肥やしている。
3姉妹もつねに着飾りわがままで、この一家が昔から町を支配していた。
今の家長はドン・ガラス。
ガラスの父親が、昔市民に暴力を受けたとかで
その仕返しにガラスの祖父が、暴行を加えた容疑のあるものは
火あぶり、その家族は奴隷同様の扱い。
「ヒヨリ」と総称される奴隷同様の人々は常にエイモス家や
他の市民から蔑まれ、さらに「ヒヨリの子はヒヨリ」という
これもエイモス家の定めた規律に縛られていた。
ドン・ガラスはヒヨリに言う
「お前達の親達が、わたしの家族を痛めつけたから当然の報いだ」

当然そんな暴君は、人々から恨みをかい、
地下組織が密かにドン・ガラスを失脚させようと画策していた。
その首謀者にトビーアスの恩師もいる。
恩師は、ドン・ガラスの妻と通じ、チャンスを狙っていた。

ドン・ガラスの母親の双子の姉妹を祖母に持つトビーアスは
動物園で働きながらたった一人の祖母の世話をしている。
半分物忘れが激しくなった祖母は、ことあるごとにトビーアスにあたり散らす。
「本当ならわたしがエイモス家に嫁ぐはずだった。
なのにあの日、妹がわたしに入れ替わり彼に取り入った。
双子だったから・・・あそこにいるのは、妹じゃなくてわたしのはずだった!」
そんな祖母に寄り添うトビーアス。
トビーアスは、純粋でまじめな青年。
同級生のパブロにいつもくっつている。
パブロは、ドン・ガラスは悪いと言い、恩師のやろうとしていることを賞賛した。
パブロは、トビーアスのすべてだった。
パブロがいい事だといえばどんなに悪いことでもいい事だと信じようとする。
だからパブロがドン・ガラスの下僕になって恩師を裏切っても
それに必死についていった。
「いつだってパブロは正しい!」と心に繰り返し刻みながら。

教会の司祭は、エイモス家がバカにするので今では教会に来るものはほとんどいない。
そんな司祭の前に旅の錬金術師が不思議な力をもつ道化を連れてやってきた。
道化は、小麦粉を不思議な力で奇跡の薬に変えた。
それを飲んだ町の人々は、病気が治ったり不幸が去っていったり
とにかく不思議な薬をもたらす錬金術師と組んだ司祭は、町の人々の信頼を取り戻した。
そんな司祭は若かりし頃、エイモス家の長女バララと恋に堕ちていた。
お互いの身分違いを気にして一緒にはなれなかったが今でもお互いを思っている。
次女のテンは、たまたま祖母の命を救ったという流れ者と
激しい恋に堕ち、三女のマチケは、家に出入りするようになったトビーアスが好きだった。

エイモス家の権力の元で気が大きくなったパブロ。
恩師を裏切り、市民に高圧的な態度をとり続けていたが
あるヒヨリの娘に純粋に恋をした矢先に
パブロに対して腹を立てていた何者かに襲撃され、失明する。
失明しては、ドン・ガラスのもとで仕事は出来ない。
心配するトビーアスを置いて
ヒヨリの娘とウィルヴィルを抜け出そうとしたパブロは、
不思議な薬の副作用で気が狂った市民に殺されてしまう。

パブロの訃報を知ったトビーアスは、激しく落ち込む。
親友を失い、自分を見失ったトビーアスは、恩師を殺し
エイモス家の金品を盗む。
そこをマチケとドン・ガラスに見つかり撃たれる。
トビーアスは、最期に「お金を持って帰らないとおばあちゃんが飢え死にしてしまう」
と、残された祖母を思いながら死んだ。

そのころウィルビルに蔓延した奇病は、バララと愛を誓った司祭をも蝕んだ。
不思議な力を持つ道化が作り出した奇跡の薬が
道化の命が尽きそうになるにつれ、その奇跡が悪夢に変化したのだった。
市民のほとんどがこの奇跡の薬を服用していたため
町には、人格が変化し、人を喰うゾンビのような人間が徘徊していた。
司祭も気が狂う前にバララに「自分がおかしくなったら殺してくれ」と遺言を残し
バララはそれに従った。
従わなければバララも喰われていたから。

テンは、流れ者の子を宿し、流れ者と結婚しようと思っていた。
だか、流れ者は、助けたテン達の祖母に取り入り
裏では、恐ろしい計画を進めていた。
流れ者。
彼は、実はウィルヴィルで生まれた。
だが生まれてすぐに母親もろとも捨てられた。
自分の母親と自分を捨てた父親に復習するためにウィルヴィルに上陸したのだった。
怪しい術で自分の父親を探し出し、殺すことで復習しようと思っていた。
怪しい術のためにさまざまな「材料」を集め、最後の材料は「老人の心臓」
はじめからテン達の祖母の心臓が狙いだった。
計画通りに祖母を殺し、心臓を手に入れた流れ者。
「さあ、俺の父親は誰だ!」
そこで苦しみ始めたのは、他でもないドン・ガラス。
まあ、この町でのドン・ガラスの所業を見ていても
なんとなく想像がついたが。
そこでショックだったのはテン。
なんと好きになった男が腹違いの弟。
弟の子供を身ごもってしまったのだ。
テンは流れ者を殺し、父親を助けた。

その後、奇病が蔓延したウィルヴィルを出ようとしたエイモス家。
トビーアスの恩師と通じていたドン・ガラスの妻はどこかへ消え
長年働いていた家政婦夫婦は、ウィルヴィルに残り、
地下で食堂を営むという。
家政婦達と別れを告げたドン・ガラスと3姉妹は船でウィルヴィルを出た。
3姉妹は、異国での新たな生活を夢にみて
バララが司祭からもらった奇跡の薬が残っていると知った姉妹は
「幸福が訪れるように」と3人で服用。
道化が死んだ今、その奇跡の薬の作用は・・・・・。

3人は石に変わってしまった。
結局、エイモス家で一人生き残ったドン・ガラスは
ウィルヴィルから出られず、奇病が収束した町で
教会の施しをもらいながらひっそりと生きていくのだった。


う〜〜ん・・・こんな感じの話だったと思う(笑)
出演者が多くて、しかも1人1人のエピソードも変わっていて
難しいわ〜〜、蜷川演劇って。
結局タイトルの3姉妹が主役なのか、ドン・ガラスが主役なのか・・・。
でもたぶんちゃんの純粋なトビーアスが次第に変わっていくのが中心だったと思うので
主役は、トビーアス?
でも途中で死んじゃったしな〜。
ただ、物語の後半でトビーアスがエイモス家の仕事をするか、
恩師について、反抗勢力になるかを悩むシーンの長い台詞は見事でした。
目つきが違うのよね〜、V6のちゃんと。
台詞が鬼気迫るというか、自分の進む方向は正しいんだと
自分に言い聞かせるトビーアスが観ていて哀れだった。
生まれつきなのか、足を引きずっていて、いつもおどおどしていたトビーアスが
たった一人の肉親である祖母を世話しておばあちゃんに食事を与えるためだけに
お金が欲しくて、エイモス家に入るんだけれど
次第にマチケに対する要求がエスカレートしていって
最後は金品を盗んで殺される。
舞台に本物の雨が降るそのシーンは、かわいそうだった。

それにしても、登場人物みんなの抱える問題が多くて
セリフから理解するのが大変で(^^;)

トビーアスの純粋さとパブロの上昇志向は、わりと最初からわかってけれど
3姉妹がわがままなのか、ウィルヴィルという町のせいでわがままに見えるだけで
ごく普通の感覚を持ったお嬢さんなのか、最後までわからなかったけれど
ひとつわかったのは、ドン・ガラスというお父様が3姉妹を大事に大事に愛していたということ。

このドン・ガラスも極悪人ではないのかもしれないけれど
市長も司祭もあやつる権力者。
市民から見れば、ただの暴君だよね〜。
殺人はいけない、といいながら罪人には苦痛を与えてその苦痛を発電機にするし
船が来るとあたりまえのように襲って強奪を繰り返すし、
メイドには当然のようにかたっぱしから手を出すし
家族が第一と口では言っているとはいえ、これでは恨まれるよね。
最後に何もかも失って、教会の前で施しを受けている姿は哀れだった。
でも最後のセリフ、転んでもただでは起きないと思う(^^;)

それに後妻は、もともとドン・ガラスを親の敵と思っているから
ダンナがメイドとどうなろうと何とも思わない。
さらにトビーアスの恩師と手を結んで
出来ればダンナの失脚を望んでいる。
でも恩師が捕まって結局そのまま後妻は、所在不明に。
・・・・・・こわっ(--;)

後妻の友人でもあった家政婦のメメ。
メメとその夫は、数年前に死んだ息子が生きていると信じていて
道化の不思議な薬でその息子の幻影を見て喜んでいるし、
この夫婦も病んでいたな〜。
でも道化の薬の副作用なのか
息子の幻影が次第にメメ達に暴力を振るい、夫婦の生活はめちゃくちゃ。
最後は、道化の最後の力で正気に戻してもらったからよかったけれど
あのままだったらどうなっていたんだろう。
こっちも怖い(^^;)

結局蜷川さんの舞台は、やっぱり何度観ても怖いというか、難しい。
でも今後も見ちゃうんだろうな〜、剛ちゃんが出演する限り(笑)