博のフォーティンブラス   icon26b.gif - 2,668Bytes


まず初めに「フォーティンブラス」とは、人の名前です。シェイクスピアの「ハムレット」にちょこっと登場するノルウェーの王子様です。
ハムレットが暗殺された父王の敵を撃ち、自分も命果てるという悲劇のストーリーが「ハムレット」でハムレットがイマワノ際に
「自分の領土と国をノルウェーの王子、フォーティンブラスに継承する」って言い残すのよね。
ハムレットを上演する劇団も多いんだろうけど、この脇役のフォーティンブラスを主役に上演するところも意外と多いみたいね〜。
ぬーが知ってるだけで、3劇団あったわよ。でもそれぞれ全然違う味つけになってましたが。

今回の長野君のフォーティンブラスは、長野君がフォーティンブラスには違いないんだけど、本物じゃなくて(笑)
ハムレットを上演するある劇団で、フォーティンブラスをやる劇団員だったの。その劇団はもとアイドルで人気だけはある超ワガママな俳優の独壇場。
セリフは頭に入れないし、勝手にストーリーを変えちゃうし、若い劇団員に手は出すし、長野君達みたいな端役には、めっちゃイジワルをする、
とんでもない悪ィヤツで、劇団員はみ〜〜んな「劇が良くないのは、全てバカな座長のあいつのせいだ」って思ってるの。
しかもその俳優(役名は黒沢正美。オトコだよ)は、特に長野君に(羽沢武年)イジワル。というか、みんな黒沢に腹を立ててるくせに
言いたい事を飲み込んでる。羽沢君は、結構黒沢にブチ当たるんで、その分黒沢に目をつけられてるのよ。
で、黒沢のイジワルはインケン。わざと羽沢のセリフの途中で緞帳を下ろして劇を終わらせちゃったり、カーテンコールで一人だけ紹介しなかったり(^^;)
ブチギレた羽沢君は、墓堀役のノブさんや、オフィーリア役の山川恵里佳(役名ひろみ)に「明日の舞台で黒沢に一泡吹かせて劇をメチャメちゃにしてやる!」って
宣言する。ところがその夜中、劇場で飲んだくれる(笑)3人の前に「フォーティンブラスの父王」と名乗る亡霊が現れる。
そして羽沢を本当のフォーティンブラスだと思い込んで、「息子よ、私の果せなかった復讐をハムレットに」とハムレットの父王との確執を語る。
でも、その亡霊は実は、劇団員でオズリック役の和馬(関ジャニの村上君)の父親だった。和馬の父親は名脇役だったんだけど、一度も主役を演じることなく
亡くなって、本当の自分を忘れて亡霊となってさまよっていたの。
その劇場には珠代さん(円城寺あや)という、昔からいる超ベテランの劇団員がいて、劇場のことはこの人に聞けば何でもわかるというくらい
いろんなことを知ってた。フォーティンブラスの父王を名乗る亡霊を見るなり「この人は和春さんという劇団員」と、本当の正体を見抜くの。
でもそれには、ちょっとしたワケがある。珠代さんは、かつて和春さんと仲の良い劇団仲間で、たぶんコイビトの関係にあったらしい。

息子の和馬君は、自分の母を捨てて、劇団の女性と劇場に入浸った父親を許せなかったの。
だけど、名脇役だった父親を尊敬もしていて、父親の後を継ぐために、かつて父親がいた劇団に入団してたのね。

ところが悲しいことに肝心のお父さんの亡霊は実の息子がわからない。羽沢をフォーティンブラスと呼び、黒沢を本当のハムレットだと思い込んでいる。
昔馴染みで、かつて父親の同僚&コイビト(?)だった珠代さん(円城寺あや)が「昔の和春さんに戻って。名脇だった和春さんに」って言っても
まったく本当の自分を思い出せない父親。和春は一度でいいから主役を演じたかったんだろうな...。

そんな混乱のなかで、事件が。黒沢が劇団員で和馬の恋人の恵子に手をだしちゃった。「俺の言う通りにしてれば、今度オフィーリアをやらせてやる」と言って。
恵子は純粋に役者になりたくて、役が欲しい一心で黒沢の楽屋に足を運んだ。そして黒沢が「ついでに和馬にもいい役をやる」と調子のいいことを言ったのを
信じて、素直にいう事を聞いちゃうんだな...(^^;)それを知った和馬は、恵子と別れ劇場を去ろうとする。
死んだ父親も自分のことを覚えていない。恋人も黒沢に手を出された。怒った和馬が劇場をでていくと、羽沢が黒沢に殴りかかる。
羽沢になじられても、態度を改めようとしない黒沢に、羽沢が声を荒げる「こんなクズでも、あんたがどんなにクズでも、俺たちの目標なんですよ!
俺たちも、あんたみたいにいつかは舞台の中央に立ってみせる。あんたみたいにいつかは...!って思っていままで頑張ってきたんです。
あんたも、役者なら一度くらい本気で演じてみろよ!」

すると今までワガママ放題だった黒沢が「俺だってこの舞台にかけてたんだ。イヌと言われたんだよ、イヌだと!」と胸中を告白する。
映画の撮影中に映画監督の娘でもある女優と共演して、スター街道まっしぐらだったはずが、
アクシデントでその娘の顔に黒沢がふりかざした刃物が当たって、顔にキズを作ってしまい、怒った監督が黒沢を降板させて
黒沢に浴びせた言葉が「お前は役者なんかじゃない。イヌだ!」だった。
その時のトラウマで、黒沢は刀やナイフを持つと演技ができなくなってしまっていて、そのせいでハムレットが殺陣をやる際
怖気づいてとっさにセリフを変えてしまったり、刃物を持たなくてもいいようにワガママに舞台を変えてしまっていたのだ。

それを聞いた羽沢は「俺たちが目標にしてるあんたがイヌなら、俺達はイヌ以下ってことですか!」と落胆するが開幕のベルは鳴る。
そして羽沢は「今日は舞台の神様に俺たちの演技を見てもらおう」とこの日の公演に全てをかける。
これは、自分を見失っている和春に最後の舞台を踏ませて成仏させてあげようという考えもあった。
和春の亡霊は、黒沢や他の役者には見えない。羽沢、ノブさん、ひろみ、そして珠代さんと和馬にしか見えない。
一度は出て行こうとしていた和馬も、オフィーリアを演じ終わって楽屋に戻ってきたひろみに「今日の舞台は何かが違うの。セリフを言ってると
自分が自分じゃないような気がするの。」と言われ、恋人の恵子が「なんだか今日の舞台はいつもと違う。私も舞台の神様に逢いたい!」と
舞台に駆け出していくのを見て、迷っていた。
すると和春の亡霊が、「行きなさい」と力強くコトバで背中を押す。和馬は何かを感じ取って衣装をつかみ、舞台へ駆け出していった。
和春の記憶が戻っていたのかは、本当のところはわからなかった。でもきっと、正気に戻っていたんだと思う。
本当の親子だから、気持ちは通じ合ったんじゃないかな。

そして羽沢も「よし!最後のまとめのセリフを演じに行って来るぞ!」と堂々とフォーティンブラスを演じるために
舞台へ飛び出していった。

舞台は、今までにない盛り上がりだった。黒沢も何かを吹っ切ったようで、苦手な刀を手に見事な殺陣を披露した。
そこには昨日までのワガママな元アイドルの印象は無かった。舞台上で劇団員が初めて1つになった。
カーテンコールでも、全員が晴れやかな笑顔で観客に答えていた。もちろん黒沢は羽沢もちゃんと紹介してくれました。

そのころ、和春は「自分の出番は終わった...。もう幕を下ろそう...」とハムレットの上演が終わるのと同時に消えた
そして楽屋ではそれを望んでいたかのように珠代さんがひっそりと息を引き取ってた....。

と、いうのが大まかなストーリーでした。長野君は、劇のしょっぱなに墓堀役のノブさんと舞台の緞帳の前に出てきて
前説風の小芝居(?)をやってくれました(なんで座長が前説なんか...。)
まず、あわてて羽沢が舞台裏に走ってきて、ノブさんに「衣装に着替えないとそろそろ出番だろう?」って心配されるけど
「私服の下にちゃんと衣装つけてますから」と余裕。でも、イザ私服を脱ぐと
違う役の人の衣装を着込んでて「あ〜〜!間違えた!着替えなくちゃ!!!」とおもむろに衣装のタンクトップを脱いだ

ぬーはこの日、前から3列目の真ん中という、とってもおいしい席が当たってたから
長野君「色白&もち肌&筋肉質」と、3拍子そろった上半身裸をみました。
あんまり近すぎて、こっちが恥ずかしいよ!(*^^*)

そしたら博は「...ノブさん...。なんか俺、たくさんの人に見られてる気がする」とあたりを見回してお客さんの笑いをとった(笑)
そう。一応設定が「舞台裏の小芝居」だから、博とノブさんの他には誰もいないのに、誰かに自分のナイスバディーを凝視されてる気がする、というワケ。
そしてさすがトニセンの長野博(笑)そのあと「そのうえ前列4列目なのにオペラグラスでのぞいてる人がいる気がする」と言った。
...いろんなタレントさんの舞台を観にいってるぬーだけど、本当にいるのよ。前から1.2.3.4列目でオペラグラスのぞく人が(^^;)
博は、ファンの習性を舞台のアドリブに生かしたのね(笑)
しかも、思ったよりお客さんのノリ&ウケが良くて、後から慌ててオペラグラスを取り出して覗く人もいたので
博はマジな顔で一言「(見られてる気がするから)見せてやる」と、惜しげもなく裸体を披露してくれました。
ただ立ってるのもつまらないと思ったらしくて中途半端にボディービルダーの筋肉ポーズもやってくれました(>▽<)
博〜〜!!!舞台の本筋がはじまる前からそんなに飛ばしてどーするのよ〜〜!ぬーさん笑い死にしちゃうよ。

そしてぬーが観に行った日は、ひどい雨が降ってて、そのうえ山手線が止まっちゃったらしい。
そのせいで舞台が開演してもお客さんが会場に着かなくて空席が多かったのよ。
観に来てた人が「なんか..土曜の夜の部なのに、なんで前の席がぽっかりと空いてるの...(^^;)」って心配しちゃったモン。
その説明も兼ねてたみたいね、今日の小芝居は。「外、雨が降ってるよ〜〜」と青ぃカサを取り出して
坂本リーダーの「シェルブールの雨傘」をネタにしてました。

当たり前だけど、お客さんの大半は長野君のファンが多いわけです。
長野君が細かいアドリブを入れて、細かい仕儀さで演技してると、ぬーの前後左右の博ファンがいちいち
かわいい〜〜(はあと)」を連発。まあ、かわいいといえばかわいいけど、ぬーはどっちかというと博には笑を求めてるから(笑)
でも、はナマで見るとなおさら「いい人だー。本当にいい人なんだろうなー...。」と思ってしまいます。
こんな人が会社にいたら癒されるよ〜。本当にソフトなお顔立ちなんだもん。

劇中も真剣なセリフのやり取りのなかで、ちょこちょことアドリブがあって楽しかったです。
中でもぬーが「おぉ〜〜〜!!!ひろし〜〜!」って思ったのが
殺陣のシーンでなぜかヒーローVS怪獣のシチュエーションがあってそのときノブさんが
「ダイゴー!」って呼んだのよ。そしたら「ダイゴってなんだよー!」って言いながら
さりげなくウルトラマンティガに変身するアクションをやってくれました。
そして必殺技のビームも披露してくれました。あ〜〜、久しぶりに「TAKE ME HIGHER」が歌いたくなってきた(笑)

それから「役者:長野博」よいうよりも「一人の男:長野博」という素顔が浮き彫りになったシーンが。
羽沢オフィーリア役のひろみちゃんの昔からのファンだったということが判明して、ノブさんが
「気をつけないとダメよ、ひろみちゃん。この人女の子をデートに誘うときは
最初は軽井沢あたりまでツーリングして、そのあとそばを食べに行くっつーのがいつもの手なんだよ」とバクロ。
そしたら博は「ノブさん〜〜〜!!!本当のこと言わないでよぉ〜〜〜〜!」と泣きついていた(笑)
そして実際舞台のラスト近くでひろみちゃんを「一緒に軽井沢にツーリング行ってその後一緒におそば食べに行ってくれる?」と誘っていた(笑)

それからフォーティンブラスの父王の亡霊が自分を息子だと言い張ってるのにガマンできずに
「俺のオヤジは今でも神奈川で自転車売ってるよ!」と叫んでいたのもリアルでした。

それからラストになぜがV6の「Believe Your Smile」で舞台に幕が下りました。
後味がサワヤカだったよ〜(^_^) イジワルだった黒沢も真剣にハムレットを演じる気になてくれて、
羽沢も最初は「自分のやるフォーティンブラスは、最後にでてきて物語のまとめをするだけ」とあんまり自分の役が好きじゃなかったのに
最後には「みごとにフォーティンブラスを演じて帰ってきます!」くらいの勢いで役にのめりこんでしまったし、
和馬君も一番シリアスな役だったけど最後はお父さんともわかりあえたみたいだったしね。
ヒナちゃんの舞台は初めて見たけど、ヒナちゃんもキレイなお顔してるのね。村上君が「ヒナちゃん」と呼ばれるようになったのは
Jrに入りたての頃、雛型あきこに顔が似てるから、という理由のみだったもんね。それだけ可愛かったのよ。実際似てたし。
今日のヒナちゃんは、関西Jrとは思えないほどシリアスでした。終盤ではヒナちゃんにばっかり事件が降りかかって
役者を辞める寸前までいってかわいそうだったけど、最後のオズリックの演技はカッコ良かったです。
それにセリフが長いものが多かった気がするけど、ベテランの役者さんたちに負けずにこなしてました。

いや〜、観に行こうかどうしようか迷ってた作品でしたが(^^;)観に行ってよかった。楽しかった。