博のデストラップ(笑)
V6の博の舞台「DEATH TRAP」を観てきた。
座席は前よりの中央だったので円形の客席のグローブ座の中では意外と見やすい席でした。
舞台のセットは、古きよき時代のアメリカの邸宅。
どっしりとしたソファーが置かれて、暖炉もある。
全体的に落ち着いたセット。コロニアル様式っていうらしい。
ここまでは普通に誰かが生活している家でストーリーが繰り広げられるんだろうな、
ってカンジですが、ふと頭上を見上げると客席の上に真ん丸い未知の物体(セット?)が
1つ浮かんでいた。しかもすっごい不自然な位置に。
そして舞台が始まりましたが、これがまた複雑怪奇なストーリーでした。
頭がこんがらがりそうなのですよ、同じような場面がオーバーラップする仕組みになっているから。
クリフォード=長野 博
シドニー=田中 健
マイラ=山下 容莉枝
ポーター=清水 紘冶
ヘルガ.テン.ドープ=江波 杏子
登場人物は、5人だけ。
しかも山下さんは、物語の前半で死んでしまって後半は出てこなかった(^^;)
ストーリー
最近ヒット作のない劇作家のシドニーは、夏のセミナーでの教え子から
自作の戯曲「死の罠」の添削を依頼される。
その作品の出来は、すばらしかった。
シドニーは、ふとその教え子を殺して自分がこの作品を書いたことにすれば
自分のヒット作になる、と考える。
そして妻マイラの忠告を聞かずにシドニーは1人、教え子殺害を企てる。
殺害場所は、自分の自宅。教え子に電話をする。
「キミの作品は、すばらしい。だが手直しが必要だからオリジナルの戯曲を持って
今から家に来ないか?駅に着くのは何時?ワタシが自動車で迎えに行ってあげよう。」
シドニーは、教え子が自分の家に来たことをダレにも見つからないようにあれこれ策を考えた
戯曲を送ってよこした生徒は、クリフォードという青年だった。
彼は、昔からシドニーのミステリー劇のファンだった。
だから自分の作品をほかならぬシドニー自身が手直しするために自宅に招いてもらえるなどど
夢にも思っていなかったので、そのうれしさに興奮して屋敷を歩き回る。
壁にかけてある無数の短剣やナイフをめずらしそうに見ていた。
そのクリフォードにシドニーは、話し掛ける
「クリフォード、戯曲はワタシに送ってきたコピーと君が今自宅から持ってきたオリジナルの他には
本当にコピーは、どこにもないんだね?」
クリフォードが「ない」と答えるとシドニーは、彼をイスに座らせて
「この手錠はフーディーニのマジックの手錠だ。」と
自分の壁にかけてあるコレクションの中から手錠を手にとると彼に渡した。
「えっ...さわってもいいんですか?へぇ〜〜〜」と
興味深げにその手錠を自分の両手にはめるクリフォード。
「あの...手錠が外れないんですが...」と不安になるクリフォードに
シドニーは笑いながらカギを渡した。
ほっとした表情を浮かべて手錠を外しにかかるクリフォード。
その様子を心配そうに見ている妻マイラ。
シドニーは、そんなクリフォードに最近自分が思いついたある戯曲を話して聞かせる。
それは、ある劇作家が将来有望な青年の書いた脚本を自分のものにするために
その青年を人知れず殺してしまうというストーリーだった。
それを聞いて青ざめるクリフォード。だが遅かった。
手渡されたカギはニセモノ!そしてシドニーはクリフォードの後ろから
壁にかけてある絞首刑の道具で彼の首を締めた。
そのすさまじい光景に動けないマイラ。
息をしなくなったクリフォードをじゅうたんにくるむと
シドニーは、マイラに死体を外に出すのを手伝えと指示した。
あとで、死体を畑に埋めるつもりなのだった。外は、煌々と満月の光がふり注いでいた。
恐怖にどうにかなりそうなマイラを「ワタシが落ちぶれないようにするには仕方がないことなんだ。」
とどうにかマイラを落ち着かせたシドニー。
すると玄関のチャイムが鳴った。訪問者は、最近近くに引っ越してきた霊能力者ヘルガ。
彼女は、断片的ではあるが、ここで起こった殺人事件を霊視した。
「死の罠...ここに座っていた若い男...男があなたを襲います...ブーツを履いた若い男...
芝居が原因で、女性が短剣を使い...ああ..胸が痛い...」と
マイラを指差して「あなた!何か悩んでいることがあるのでは?」と詰め寄ると
マイラは必死に「....いいえ!何も...」と逃げた。
ヘルガが去ると、霊視があまりにリアルだったためにパニックを起こしそうなマイラだった。
シドニーは「くだらない!男がワタシを襲う!?逆だろう(笑)」と
戸締りをして寝ようと窓のカーテンに手を伸ばした。
「!うわっ!!?」と何者かに外に引きずり出されるシドニー。
そして窓から飛び込んできた恐ろしい形相の一人の男....殺害したはずのクリフォードだった。
ドロだらけで首には死斑が現れている恐ろしい姿。
彼は、手に持った薪でシドニーをめった打ちにした。
その恨みの目は、今度はマイラに向けられた。
マイラに襲い掛かろうとするクリフォード。だがそれよりも早くマイラは心臓発作を起こしてこと切れた。
「...死んだ....」つぶやくクリフォード。
すると薪で殴り殺されたはずのシドニーがゆっくりと起き上がった。
シドニーとクリフォードは、夏のセミナーでただならぬ関係になった。
そこで2人は、マイラの遺産を手にいれようとマイラ殺害を計画したのだった。
マイラは、心臓に持病を持っていたため、ショックを与えて心臓発作を起こさせたのだ。
シドニーは言う「あとしばらく、こうしているつもりだ。マイラが息を吹き返さないように」
それから1週間後、シドニーはクリフォードを秘書として屋敷に招き入れた。
クリフォードは、以前務めていた福祉事務所のことを戯曲に書きたいとタイプを打っていた。
そこへ弁護士のポーターがやってくる。
ポーターは、マイラの財産についての書類を持ってきたのだった。
食料品の買出しに出かけるクリフォードを見送ると
ポーターはシドニーに言った。「あの青年、自分の机にカギをかけて出て行ったぞ」
心配になったシドニーは、クリフォードが帰ってきて机のカギを開けるのを確認してから
2階に上がったと見せかけてクリフォードを呼びつけた。
クリフォードが2階にあがるとシドニーはこっそり庭から部屋に帰ってきて
彼の原稿を盗み見た。
その内容は、つい1週間前ここで起こした出来事とそっくりのスリラーだった。
「キミは、スリラーには興味がないと言っていたじゃないか!?
それに確かにこの戯曲は面白いが危険すぎる」と
戯曲の完成を拒むシドニーだったが
「ダレも、本当のことだとは思いませんよ」とあくまでも戯曲を書き続けようとする。
その狂気にも似たクリフォードに恐ろしさを覚えたシドニーは
2人で共同執筆として戯曲を完成させるとクリフォードに約束する。
さらに1週間後、また霊能力者のヘルガがやってくる
そしてブーツを履いているクリフォードを見て
シドニーに警告する「あの男!あの男をここにおいてはいけない!
ブーツの男に襲われると警告したはず!」
ヘルガが帰ったあと、シドニーはある決意をし、暖炉の影に拳銃を隠した。
クリフォードにシドニーは「戯曲のラストが思いついた」と告げた。
だがシドニーは、戯曲をよりリアルに仕上げたいが、どうしても
2箇所だけ不自然な展開になってしまうような気がするという。
そしてクリフォードに、「実際、ストーリーどおりに2人で動いてみないか」と
持ちかける。こころよく承知するクリフォード。
そのシドニーのいう2箇所の不自然な点は、物語りの中の決闘シーンだった。
互いに殺人犯と殺される人間を真剣に演じる2人。
2人の決闘シーンは、次第に熱を帯びて殺気がみなぎるほどだった。
とうとう暖炉に隠した拳銃を構えるシドニー。
「さよなら、クリフォード」拳銃の弾は、クリフォードから反れ、
2人は再び殺しあいを演じる。ただし今度は演技ではなく本気だ。
シドニーの放った矢がクリフォードの背中に刺さり、クリフォードは倒れた。
戦いに勝利し、ソファーに崩れるシドニー。
良かった...クリフォードは死んだ。これであの妻殺しの戯曲が世に出ることはない....。
そう思っているソファーの陰からクリフォードがゆらりと立ち上がる。
彼は、死んではいなかった。彼は、自分の背中に刺さった矢を抜くと
シドニーの体に矢を突き立てた。何度も何度も。
そしてソファーの上で2人は息絶えたのだった。
さらに時間は、流れて主を無くしたシドニーの家で弁護士のポーターと
霊能者のヘルガが、なにやら話していた。
ヘルガは、この事件の詳細を霊視したのは自分で、この話を戯曲として自分が
売り込めばヒットするにちがいないと思っていた。
またポーターも、この事件を自分が執筆することを密かに計画していた。
ポーターはヘルガに「あなたが全てを霊視していたとしても、ここでアナタを殺せば誰もそんなことは知らない」
と、ヘルガの命を狙おうとするが、ヘルガは平然と言った。
「以前シドニー氏に警告しました『芝居が原因で髪の長い女が短剣を使う』と」と
手には、シドニー邸の壁に飾られていた短剣が握られていた。
じりじりと間合いを詰める2人。
と、そこへ窓から何者かが飛び込んでくる
「その物語を仕上げるのはオレだ!」
それは殺されたときと同じ服装のクリフォードだった。
一体、どこまでが現実でどこからが想像の中で書き上げられた戯曲なのか......。
と、まあこんなカンジの複雑なストーリーでした。
でも複雑ではあるけれど、そんなに浮世離れした展開は少なかったかも。
とにかくこんな現実があったらすっごく怖いし人が信じられなくなると思う。
だってさ、登場人物のほとんどが自分の私利私欲のために
他人を殺そうとしてるんだもの。
そんな殺伐とした雰囲気の物語を少し柔らかくしていたのが
主演の博。博は、最初グレーのトレーナー&ジーンズ。
物語の中盤では、VVV6のVシュランで着ているような紺のベスト&シャツ&ベージュ系のズボン。
どれも恐ろしく博らしかった(笑)
特にベスト姿は、本当に「あ、これから食べ物ロケ?」って思っちゃうほど
自然に着こなしていました。
そしてタイプライターをものすごい勢いで打つ博。
しかも人差し指1本で。もちろん顔は真剣そのもの(爆笑)
このタイプの早打ちは、上演中そこかしこで披露してくださいました。
めっちゃ早いのよ、思わず「あ〜〜、Vの炎の空中パソコンを思い出すな〜」と
なつかしくなってしまいました。
それにしても博がゲイの役だなんて(^^;)
健さんとのキスシーンは、たぶん本当にはやってないと思うけれど
それでも内心「きゃ〜〜〜〜!!あたしの博が〜〜〜〜!」←(-_-;)
と大騒ぎでした。同じ健でも三宅の健ちゃんとだったらどうだろう?←(@_@;)
そんな(どんな?)シドニー役の田中健さん。
健さんは、物語の前半、一人で長いセリフを言うシーンが多かった。
まあ、劇作家の役で、殺人を企てた最初の犯人だからセリフが多いのは当たり前かもしれないけど
それでも気になったことが....。
それは、「健さんセリフ、カミすぎる....」ということ。
なんか、舌滑も悪くて時々「...何?」ってはっきりときこえなくなることもあった。
セリフがたよりない感じだと、見ているこちらが余計に緊張した。
その田中さんは、クリフォード役の博と恋仲(笑)になっている設定なのですが
奥さんを心臓発作を起こさせて殺し、そのあとに秘書として
自分の恋人を(男性だけれど)住まわせるということで
クリフォードと2人きりのときは、たぶんとってもかわいい人になるんでしょうね(笑)
後半で、シドニーが戯曲の打ち合わせを兼ねた関係者との食事会で出かけていて
クリフォードが1人で留守番をしていたときヘルガが訪ねてくる。
そこにドアのベルが鳴り、クリフォードがドアを開けると
「んも〜〜っ、たいくつなお食事〜〜〜〜」と、小走りにシドニーが入ってきた。
しかも内股気味(笑)
その姿を必死に隠そうとしたクリフォード(笑)
ここらへんまでは、2人の間にちゃんと「愛」があったらしい(^^;)
でも、だんだんお互いの命を狙うようになっちゃうんだよね〜。
シドニーの奥さんマイラ役の山下容莉枝さんは、前半で殺されて
後半は出番がナシ。
山下さんは、テレビでもいつも上品な奥様を演じているけど
それは舞台でも同じなのね。
そしてポーター役の清水紘治さんは、後半のみの出番。
清水さんは、2時間ドラマでしょっぱな殺されたり(^^;)
悪役が多いんだけど、舞台もやるんだね。
ぬーは、けっこうジャニタレさんの舞台を観にいく機会が多いんで
ジャニタレさんと共演するたくさんのベテラン俳優さんを観る機会も多い。
そんなぬーは「....こんなベテラン俳優さんをこんな少ない出番で扱ってもいいのか...?」
って思うことが時々あるのよ。ゼイタクなんだね〜〜、舞台って。
江波さんは、テレビでもおなじみの女優さんなんだけれど
あんなに小柄な人だとは思わなかったよ。
霊能者のヘルガは、嵐の中突然やってきたり怪しい予言をしたり
一番なぞめいていました。
他の、もう少し楽しい内容の舞台だと笑えた演技も
DEATH TRAPでは、ちょっとコワいアブない人みたいに見えて
かえってドキドキしました。
舞台の内容に加えて効果音がすごい音量で
シドニーがクリフォードを殺そうとするシーンとか
舞台の展開よりも耳がビックリしました。
久しぶりに心臓に衝撃を与えるような舞台に出会いました。
再演があったら.....見たいけれどちょっとコワい(笑)