つばめの相葉ちゃん
「燕のいる駅」このタイトルが最後にすっごく重く感じた。
嵐の相葉ちゃんが初舞台。
しかも「燕の役だ」と間違った情報を頭に入れて(笑)臨んだ舞台だったので
そのストーリーのシリアスさに驚いたよ。
まずグローブ座の舞台が昔ながらの懐かしい木造の駅。
駅の名前は「日本村四番」。ローカル線をイメージしてるんだけれど
実は、時代は「2085年5月」で、今より80年も未来の話だった。
ストーリー
2085年5月。日本村四番駅では、駅員の高島(相葉ちゃん)が
購入したばかりの木造のベンチを治している。
新しいベンチに釘が出ていて、座るとオシリにあたるらしい。
そこに駅の売店の女の子榊原有香がやって来た。
2人の会話から、今の世界は混血が進み、純粋な「日本人」が少なくなり
「日本人居住区」とその「外」の民族別の世界に分かれていて
外に行くには電車の「外回り」に乗らなければならない事、
それから混血でも日本人居住区に住む事を許可されている人は
胸に赤いバッジをつけていなければならない事、
そして2085年は、ホンモノの木材もなかなか手に入らない。
さらに屋外に出るときには、オゾン層の破壊のせいか、
皆、白い服を着ないといけない。
榊原「何してるの!?」
高島「あそこのホームに燕が巣を作ったんだ。
でもなぜか燕が巣を壊しちゃうんだよね。
だから巣を壊さないために、ああやって補修したんだ」
榊原「へえ〜〜〜」
高島「あ、あのさ....今日仕事が終ったら....」
榊原「....何!?」
高島「えっ!? あ、あの、板を買ってきてよ。ミドリヤで」
本当はデートにでも誘いたかったんだろうが、高島はその場を切り抜けた。
榊原は、残念そうに「わかった」と返事をした。
そこへ榊原の友人下河部友紀(岩崎ひろみ)がやってくる。
彼女は内回りの電車に乗り、ある理由で国に拘束されている弟に逢いに行ってきたのだ。
榊原「逢えたの!?」
友紀「ううん。逢えなかった....」
弟は、純粋な日本人以外の人間の理解と共存のための運動をしていたのだ。
友紀「多分出てこれないと思う...。もう逢えないかも」
涙を流す友紀に榊原は「きっと逢えるよ!」と励ますのだった。
榊原が空を見上げるとホームセンター「ミドリヤ」のある方向に大きな雲が浮かんでいた。
そのカタチはパンダの様な形をしている。
そんなところへ電話が掛かって来る。
慌てる高島。状況が飲み込めない榊原に高島は言う。
高島「今、本部から連絡があって、特急がこの駅に緊急停車するって!」
外観は昔のローカルなイメージに作られた駅だが
到着した電車は、その時代らしいデザインらしい。
到着状況が、ホームの上の電光掲示板に点灯すると
中から様々な乗客が駅に降りてきた。
大学の卒業旅行だという4人組。
部下のミスを謝るために、取引先に向かう途中の会社員3人組。
そして赤いバッジを着けた婦人が一人。
皆白い服を着ている。
乗客は、「なぜ止まるの!?いつダイヤは復旧するの!?」と高島に聞く。
特に赤いバッジの婦人は、「私は早く外に行かなくてはいけないの!」と
何かに怯えるように 何度も高島に詰め寄る。
でも高島にも状況はハッキリわからず、ただ「申し訳ありません!」と平謝りを繰り返すだけだった。
そんな高島を見兼ねた榊原が「売店でお茶でもいかがですか!?」と乗客をなだめた。
乗客の一人 水口(宮地雅子さん)は、部下の鈴木のミスを謝るために
鈴木本人と同期で部下でもある真田ともに外回りに乗っていた。
先方との約束の時間を気にしてイラつく水口は
赤いバッチの婦人に純粋な日本人ではないことを理由に冷たいコトバを浴びせた。
水口の会社でも純粋な日本人だけを採用するようリストラが進んでいて
水口の上司もリストラされたのだった。
仕事のミスを全く気にしていない鈴木に水口は
「あんたなんか、日本人でなければ採用なんかされなかったでしょうに!」と怒りをぶつけた。
すると今度は鈴木が怒り「僕はね、日本人だとか、そうでない人とか、関係なく
みんなと仲良くしたいんですよ!やめてやりますよ、こんな会社!」と
駅のホームに消えていった。
残された水口と真田は、何もいえなかった。
緑(四条久美子)は、胸に赤いバッチを着けていた。
水口の言う「日本人と同等の権利を与えられている人種」の一人だ。
彼女は外国人の夫が収容所にいるのに面会に行く途中だった。
彼女はイヤなウワサを聞いてあせっていた。
「赤いバッチも収容所に送られる....」
それを聞いた水口は「どうもすみませんでした...」と非礼を詫びた。
本部からはいっこうに連絡が来ない。
高島は走り回っていた。
やっとつながった電話で、この緊急停車の理由がわかった。
隣りの駅で高島の上司だった男性が電車に飛び込んだのだった。
彼は、自分の娘が赤いバッチの男性と結婚することに悩んでいたようだ。
ショックで駅の構内から走り出す高島。
特急には大学の同級生の旅行客も乗っていた。
水口達のように深刻な状況ではない4人組は、にぎやかだった。
彼女達も空に浮かぶパンダのような雲を見つけてはしゃいだ。
「ねえねえ!あの雲おかしい〜〜(>▽<)」
「でも....あの雲が空に浮かんだら世界の終わりって教授が言ってなかったっけ!?」
そこに高島の幼馴染のローレンコ二郎(猪野学)がやってきた。
彼も赤いバッチの人種だった。
二郎は2ヶ月前に日本人の本多まち(小西美帆)と結婚したばかりだ。
純粋な日本人との結婚を望んでいたまちの父親を説得してやっと結婚したのだった。
でもそんな2人に暗い影が迫っていた。
赤いバッチの人間も収容所に送られる事になったのだ。
現実を受け入れるしかない2人。
二郎は最後に高島に別れの挨拶に来たのだ。
妻のまちも一緒だった。
高島を探しながら二郎がまちに言った。
二郎「オマエさ、本当は日本人と結婚したほうが良かったと思ってんじゃね〜の!?」
まち「思ってる(笑)」
二郎「.....そっか〜〜〜〜(T_T)....」
まち「冗談よ。(収容所から)出てくるのずっと待ってるから...」
駅の外には政府の収容車が待っている。
二郎は高島にどうしても本当のことが言えず「ちょっと旅行に行って来る」と言うが
様子がおかしいので高島も気づく。
高島「二郎ちゃん!外に黒い車がいるよ!あれ何!?ねえ!」
泣き叫ぶ高島に別れを告げると、二郎は政府に連れて行かれた。
そこに本部から電話が来る。
高島は、慌てて乗客に知らせた。
高島「皆さん!もうすぐ内回りの電車が来ます。今日はこの電車が終電になります。
お願いします!皆さん乗ってください!」
頭を下げる高島に促されるように乗客は、ホームへ上がっていった。
水口だけが最後まで電車に乗るのを迷った。
水口「...その電車は、あのパンダ雲の方向へ行くのよね.....」
同僚の真田「どうしました!?電車が来ちゃいますよ」
水口「だけど...あたしも聞いた事があるの。パンダ雲が浮かんだら
それは戦争兵器だって....」
真田「まさか....。さあ、行きましょう。僕を信じて!」
水口は、真田にせかされて渋々ホームに上がっていった。
そして内回りの電車は、ホームセンター「ミドリヤ」の方向へ走っていった。
時を同じくして売店の榊原は、ホームセンターに木材を買いに出かけた。
高島に「ベンチに使うから板を買ってきてよ」と言われていたから。
榊原は白いコートをはおり、自転車で駅を出て行った。
ミドリヤへ、あのパンダ雲の浮かぶ方向へ。
一人になった高島の前に、下河部友紀がやってきた。
そこへ本部から再び電話がかかってきた。
本部からの伝達事項を聞き終わると高島は顔面蒼白になりながら友紀に言った。
高島「...戦争がはじまったって。あの雲は...バクダンだって...」
空に浮かんでいたパンダのような雲は、バクダンのキノコ雲だった。
日本と外国が戦争を始めたのだ。
ショックのあまり、コトバが出ない高島に、友紀が言った。
友紀「うち....。ミドリヤのほうにあるんです...。
母が...一人で待ってるんです....。」
高島「俺....さっき電車にお客さんを乗せて(ミドリヤの方向へ)送り出しちゃった...
それに、榊原も...俺の言った事を真に受けて....!!
俺だけ....何にも知らなくて....バカで....!!」
知らなかったとはいえ、今ミドリヤのあたりは戦火の渦だろう。
そこへ向かった人々は、どうなってしまうのか....。
自分の罪の意識で泣き崩れる高島に友紀は言った。
友紀「いいお天気ですね....。こんなに穏やかないいお天気なのに
たくさん人が死んでいくんですね.....」
高島「...そうだ...。燕の巣を見に行きませんか....?
燕のヒナがいるんですよ....」
しかし、その直後に高島は知ることになる。
燕が巣を壊した理由。それは迫る戦争を感じた燕がとった行動だった。
この先ヒナを育ててもここで無事に育つかわからない。
燕は、自分自身とヒナの未来を悲観して巣を壊したに違いない。
巣が地面に落ち、死んでしまったヒナの中でたった1羽生きていたヒナがいた。
高島は、そのヒナをそって両手で包んで泣いた....。
舞台を観ている間に何度も泣きそうになった(T_T)
だって色々が悲しすぎたよ。
高島君と榊原の お互いが気になるのにもう一歩踏み込めないまま
彼女がいなくなってしまったラストとか、
混血だから別れなくてはならない夫婦とか....。
でもシリアスな重いストーリーなのに
全体的にすっきりしてたのは、高島君の「ちょっとバカ」なキャラが
うまくストーリーを和らげてたんだろうな。
最初は、本当に「これって...演技!?天然!?」ってわからないくらいに
「相葉ちゃん」だった(笑)
カレーが好きでカレーパンも好きな高島君。キレンジャーか(あ、歳がばれる)
かわいかったわ〜〜(*^^*)
でも、高島君は、後半で泣くシーンが多かったけれど
あんなに号泣したら、涙が枯れちゃうんじゃないかって心配したよ。
見てるこっちがもらい泣きして悲しくなったもの(T_T)
最後に自分の責任で電車に乗せたお客さんの運命とか、
テレてごまかすために言った冗談で彼女をミドリヤに送り出してしまった後悔とか
様々なショックで立ち直れそうに無い高島君は、ホントにかわいそうでした。
ラストシーンで高島君が燕のヒナを手に泣くシーンがあったんだけれど
ヒナがでかかった。ハトくらいの大きさだった(笑)で、ちゃんと動いていた(笑)
最後のアンコールは3回。
最初と2回目は、他の役者さんと一緒に舞台ソデから出てきたんだけれど
3回目のアンコールは、駅員室から相葉ちゃんが飛び出してきた(笑)
あんなに最後はシリアスな演技をしてた相葉ちゃんなのに
アンコールではいつもテレビで見る相葉ちゃんの笑顔だった。
帰り道、相方のぱんたさんと「いや〜、やるじゃん相葉ちゃん。役者もいいじゃん」
と賞賛しながら帰りました。
嵐の天然キャラ相葉ちゃんの新たな実力を発見しました。